民法(債権法)改正の議論が始まった10数年前に京都大学で山本敬三先生,潮見佳男に教えを受けましたので,民法(債権法)改正の動きはごく自然なこととして受けとめていました(民法改正については,内田貴『民法改正』、大村敦志『民法改正を考える』が手軽に読めます。)。
しかし、実際に改正作業が始まってみると、そのプロセスの不透明さや、改正作業が学者中心に進められていることに不満が噴出し、実務家からは反対あるいは拙速との意見が表明されています(学者の立場からの意見ですが、加藤雅信『民法(債権法)改正』は問題点がよく分かります。)。
一般論として、百年も経てばいろいろと不具合が生じるのは当然ですので、改正自体は必要ではないかと思いますが、いまは全面改正に賛成か反対かで意見が対立しており、なかなか個別のイシューの議論にならず、憲法改正と同じような状況にあるように思われます(債務不履行の免責事由などは,無理に新しい言葉を使わなくてもよいのではないかと私も思います。)。