これは問題作です。「病歴30年のうつのプロ」が東京23区にある精神科のクリニックを回って、その評価を書き連ねたルポの類いなのですが、何しろ著者は精神保健福祉士の資格を持つ正真正銘のプロ。言ってみれば、法律事務所職員が他の法律事務所で法律相談を受けて、格付けするようなものです。
Amazonのブックレビューでは、評価が主観的過ぎるとか、公共資源の浪費であるという厳しい評価がなされています。しかし、レビューの中で、精神科医の方がコメントされているように、精神科医ないしクリニックにとっては、非常に有益な教科書であることは間違いないと思われます。
そもそも患者の感じ方は主観的なものですし、私もこの本に客観性を期待してはいません。しかし、受付の応対、待合室の雰囲気、カルテの取り方や問診の仕方など、患者目線の率直な評価が綴られており、私たち弁護士にとっても、普段の業務のあり方を反省させられる材料がたくさん詰まっていると感じました。
(田岡)