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なぜ被告人は本籍や住所を明らかにしなくてはならないのか(続)

 ブログを始めて4年以上になる。記事数は680件を超えたが,「なぜ被告人は本籍や住所を明らかにしなくてはならないのか」という記事がもっともアクセスが多い記事の一つである。それほど,被告人が法廷において本籍や住所を明らかにしなければならないことについて疑問を持つ人が多いということだろう。しかし,被害者の住所や氏名の秘匿についてはさまざまな配慮が払われているのに,被告人の本籍や住所が公表されることについて疑問を呈する有識者の意見は聴いたことがない。不思議なことである。罪を犯した(と疑われる)者はさらし者にされても仕方ないということだろうか。

 もちろん,罪を犯した者は,罪を償わねばならない。犯した罪に相応する処罰を受けるのは当然のことである。また,社会の関心事になるような重大事件については,背景事情を明らかにすることが必要な場合もあるだろう。しかし,問題は,そのために(無罪と推定される)被告人の本籍や住所まで明らかにする必要があるのか,ということである。「人違いでないことを確かめる」(刑事訴訟規則196条)ためであれば,運転免許証の提示を求めるなり,秘密のパスワードを尋ねるなり,他にいくらでも方法があるだろう。本籍(国籍)が明らかになれば,被告人が被差別部落出身者であるとか,在日コリアンであるなど出自が明かされ,偏見が助長される場合もあるだろうし,同居する家族が誹謗中傷や嫌がらせに苦しむこともある。事件の性質によっては,報復のおそれもないとはいえないのである。

 とはいうものの,丸亀支部の法廷には傍聴人がほとんどいないので,特に問題になることはなかったが,先日,ある刑事事件で,被告人の住所の秘匿が認められる経験をした。事案の詳細を明らかにすることはできないが,被告人が逮捕後に実家に住所を移転したところ,実家に住む家族が住所を明らかにされることによる誹謗中傷を懸念していた。そこで,裁判所に対して,住所を読み上げなくても「人違いでないことを確かめる」ことに支障はないのではないかと申し上げたところ,裁判所は,起訴状を被告人に示して「起訴状に記載されている住所に間違いない」と確認するという方法をとってくれた。被告人(の家族)は,傍聴人に住所を知られずに済んだわけである(被害者には,損害賠償命令の申立てのため記録の閲覧謄写が認められているから,支障はない。)。小さなことではあるが,ちょっとした配慮の積み重ねによって,実務が改善されてゆくことを感じたしだいである。

 

(田岡)

 

 

 

 

 

 

 

 

(田岡)

| 2017.11.28 Tuesday|コラムcomments(0)|-|

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